エンジニアの精神疾患リスクが高い噂は本当か
昔からまことしやかに、エンジニアっていう人たちはうつ病などの精神疾患になりやすい過酷な職業であるというイメージがある。
20年以上前は現役のエンジニアでした。
当時インフラ周りのエンジニアをやっていて、夜勤中心、24時間365日。
残業もたらふくある。
普通に考えたら、あの状況は病んでも仕方がないと言えたかもしれない。
ただ、労働環境が改善されてきたIT業界で、まだそのイメージがこびりついている。
実態はどうなんだろうか。
労災請求件数が多い業種
実際に労働基準監督署に精神疾患の労災請求件数の多い業種を見てみると、「情報サービス産業」が5位。
この中の一部にエンジニアがあるので、実際にはもっとランキング的には下の順位(良い方向)になるだろう。
報告されてない件数もあるだろうという反論もあるだろうが、それは別の業種でも言えることなので的外れな論だろう。
では1位・2位・3位は何かというと、
- 1位 福祉介護業
- 2位 医療業
- 3位 運送業
という結果となっている。
夜勤の職種は精神疾患になりやすい?
ランキングの上位を占めている職業は、その性質上夜間に動くことも多い仕事。
夜勤や日勤が入り乱れるような働き方をしている人と、日勤しかしていない人とでは、「寿命が10年違う」と言われている。
体内時計のバランスを崩すこと、紫外線を浴びていないというのが、肉体へのダメージも伴うことがわかる。
精神健康面では、通称「幸せホルモン」たるセロトニンの分泌が重要になるのだが、これは紫外線を浴びることで分泌が活性化されるもの。
それが阻害されてしまう夜勤は、肉体・精神的な健康に悪い影響も与えることが多いわけだ。
ただし、エンジニアの業界も、システムもそう、ネットワークもそう。
24時間いつでも使えて当たり前、止まることは許されないという状況で、誰かは必ずお守りをしている。
そういう意味ではもちろん夜勤は存在する。
だからこそ、トップ3ではなかったものの、5位入りすることになったのだろう。
高ストレス職業別ランキング
精神疾患、主にうつ病に関しては、「ストレス」が発症のきっかけとなるケースが多いとされている疾患。
では、ストレスの負荷が高い職業は何だろうか。
- 1位 一般事務
- 2位 営業
- 3位 運転従事者
ちなみにエンジニアの部類である情報処理・通信技術者は10位となっている。
そこまでランキングは高くない。
ちなみに1位の一般事務と2位の営業では、労災請求件数が大幅に違い、一般事務は営業の倍の請求件数で圧倒的。
仕事におけるストレス要因は、男女ともに長年変わらない。
「職場の人間関係」「仕事の量」「仕事の質」
これが連綿と続く仕事におけるストレス要因だ。
営業職はなんだかんだで、新たな人との出会いがある。
固定化された人間関係ではない。
一般事務は、ガチャに近い。
社内に相性が悪い人間がいれば、退職でもしない限り関係は続いていく。
だからこそ、その対人トラブルでの請求・報告件数が多いわけである。
そこまでエンジニアは悪い職業じゃない
精神疾患の労災請求件数、職種・職業、双方の点でトップ3には入っていなかった。
そういう意味でエンジニアはイメージがこびりついている「病む仕事の代名詞」というわけではなさそうである。
ただし、私も経験しているデスマーチが終始流れているプロジェクトへの参画、PMが恐ろしいほどのクズ、チームメンバーのやる気が地底の底くらい低い。
そんな色んな状況が苦しめることもある業界ではある。
これは運の要素も大きい。
そんな状況を見捨てず、会社がしっかり対応してくれるか。
そういった会社に所属していたいものだ。
私はそうじゃなかったから、転職をしたものだ。
現役を引退したのは、海外エンジニアと比較して才能がないことがわかって、いずれ比べられたら勝てないので、勝つフィールドに立つためという理由であるが、それはまた別の話だ。
東田 大輔
取締役 最高執行責任者
業務管理部 部長 / 人事・広報部 部長
エンジニア、デザイナー、作家